アクリル塗料の特徴と使い方を解説!失敗しない塗料の選び方とは?

アクリル塗料は安価で色が豊富なことからDIYに選ばれやすい塗料です。しかし、耐久性は現在普及しているシリコン塗料よりも低く、外壁塗装など耐久性を必要とする場所には適していません。特徴やその他塗料の性能、費用の差などをまとめましたので、塗料選びの参考にしてください。

アクリル塗料の特徴

外壁塗装の画像

アクリル塗料は主成分となる合成樹脂にアクリル樹脂を使っています。30年前(2020年現在)は主流だった塗料です。現在はシリコン塗料が主流で、耐用年数も短くあまり使われなくなりましたが、価格が安価なためDIYに用いられています。

アクリル塗料の種類

塗装現場の画像

アクリルと名前がついていてもシリコン塗料に分類されているものもあるので、塗料の種類を把握しておきましょう。

アクリルシリコン

アクリルシリコンはシリコン塗料に分類される塗料です。シリコンは何かしらの物質と結合しているもので、アクリル樹脂と繋がっているシリコンをアクリルシリコンと呼んでいます。アクリル樹脂塗料とアクリルシリコン樹脂塗料は異なる塗料ですので、間違いないようにしましょう。

ラジカル塗料

ラジカルとは劣化因子のことで、塗膜は水や酸素、紫外線が原因して劣化します。この劣化を抑制する塗料がラジカル制御式塗料です。ラジカル制御式塗料はアクリル樹脂を使用したものとシリコン樹脂を使用したものがあります。

弾性アクリル塗料

弾性とは塗膜に伸縮性を持たせた塗料です。性能はアクリル塗料と変わりませんが、塗膜の性質が違います。塗膜に伸縮性があると建物の揺れや外壁の動きに対して追従性があり、ひび割れを抑止します。ただし、サイディングなど蓄熱する素材に塗ると塗膜が膨れるので注意が必要です。

ピュアアクリル塗料

ピュアアクリル塗料は一般的に普及しているアクリル塗料とは違う性質のもので耐用年数も15年ほどとフッ素樹脂と同等の性能があります。アクリル塗料の不純物を排し、性能を最大限に発揮した高性能塗料です。ピュアアクリルは海外メーカーのアステックペイントが独自に製品開発した塗料で普及率は低いです。

アクリル塗料に適している場所

軒天井の画像

現在ではアクリル塗料をあまり使わなくなりましたが、塗装する場所によっては適していることもあるため、以下に適している場所を記しました。

室内の塗装に適している

風雨に曝される屋外での使用では耐久性に期待ができませんが、安価であることと屋外のようにハードな環境にならないという理由から室内の使用に適しています。市販されているアクリル塗料も1液型が多いため、扱いやすくDIYにも向いています。

軒天井など湿気を通す必要がある場所に適している

アクリル塗料は透湿性があるため、湿気の溜まりやすい場所に適しています。外壁など耐久性を必要とする場所には向いていませんが、軒天井のように湿気対策が必要な場所に塗装するといいでしょう。

アクリル塗料の耐用年数と費用相場

費用のイメージ画像
耐用年数価格
約5~8年約1,200~1,800円/㎡

塗料の中でも耐久性がなく、グレードも低い位置にあります。安価ですが耐用年数を考慮すると、あまりメリットはありません。ただし、数年で家を引っ越す場合や、売却してしまうなど、そこまで保たせる必要がないケースでは費用が安価なアクリル塗料がいいでしょう。

塗装工事の費用内訳

工事内容費用相場
足場組み立て及び撤去約700~1,000円/㎡
高圧洗浄約200~800円/㎡
下地処理ケレンがけ~下塗り(1回)約600~1,200円/㎡
上塗り(2回)約1,200~1,800円/㎡
諸経費工事総額の5~20%程度

見積もりは一式工事と大雑把な記載ではなく、数量や単価など細かく記載してもらいましょう。

アクリル塗料の優れている理由

豊富なカラーのイメージ画像

アクリル塗料の優れている点を以下にまとめましたのでご覧ください。

費用が安い

数ある塗料の中で最も費用が安いのがアクリル塗料です。自分で塗装したいという方に適しているおすすめの塗料になります。また、短い周期で塗装する店舗や室内での利用なら安価に済むため向いています。

カラーが豊富で発色がいい

発色が優れているためカラーバリエーションが豊富にあります。建築用途ではあまり作られなくなりましたが、安価で扱いやすいことからホームセンターなどでいろいろな種類の製品を購入することが可能です。

透湿性がある

アクリル塗料は透湿性があるため、湿気対策が必要な場所に塗装をすると効果を発揮します。湿気がこもりやすい軒天井や浴室天井に向いています。

DIYに使いやすい塗料

安価であり、カラーバリエーションが豊富であることからDIYに向いている塗料です。安価なため失敗リスクが少なく、旧塗膜がアクリル塗料なら塗り重ねがしやすく手間がかからないため(塗膜に劣化がある場合は例外)、慣れていない方にも適しています。

アクリル塗料を選ぶ際に注意するべきポイント

外壁の劣化画像

アクリル塗料を使用する前にどんなところに注意するかポイントを把握しておきましょう。

劣化が早い

アクリル塗料はウレタンやシリコンと比べて劣化が早いです。初期費用は安いかもしれませんが、何度も塗り直すことにより最終的なメンテナンス費用が高くなります。耐久性が必要な場所で使用するのは避けた方がいいでしょう。

ひび割れを起こしやすい

アクリル塗料は硬い塗膜となるため可塑剤を混ぜて柔軟性を持たせます。可塑剤とは柔軟性や耐候性を改良する添加薬品で、可塑剤が気化すると塗膜の柔軟性をなくしひび割れを起こします。どの塗料も塗膜は硬くなるので、ひび割れを起こす可能性はありますが、塗料の中でもアクリル塗料は耐用年数が短くなっています。

メンテナンスサイクルが早い

メンテナンスサイクルが早いと、その分の塗装工事費用が掛かります。建物の保ちが30年とした場合、その間に何回塗装工事を行い、どれくらいの費用が掛かるか最終的な金額を計算しておくことが大切です。

屋根塗料にアクリル系はない

屋根は太陽の紫外線や風雨に曝される非常に厳しい環境になります。紫外線などから保護する必要があるため、耐久性が求められる屋根にアクリル塗料は適していません。また、大手メーカーからもアクリル塗料で屋根用の塗料は販売されていません。

アクリル塗料とその他塗料の違い

いろいろな塗料のイメージ画像

塗料は他にも種類があります。ここではその他塗料の特徴と耐用年数、費用相場をお伝えします。

ウレタン系

耐用年数価格
約7~10年約1,800~2,200円/㎡

合成樹脂にウレタン樹脂を使用した塗料がウレタン塗料です。シリコン塗料が主流になる前のスタンダードな塗料でした。2020年現在はシリコン塗料との価格差も縮まり、性能も落ちるため、外壁塗装で採用されるケースは少なくなりました。

シリコン系

耐用年数価格
外壁:約10~15年

屋根:約8~13年
約2,200~3,200円/㎡

シリコン塗料は耐久性と価格のバランスが良い現在ではスタンダードな塗料です。合成樹脂にシリコン樹脂を使うことで耐久性や光沢保持率が向上し、長い期間建物の美観を保てるようになりました。塗料で迷っている方はシリコン塗料を選択することがおすすめです。

フッ素系

耐用年数価格
約15~20年約3,400~4,800円/㎡

合成樹脂にフッ素樹脂を使った塗料です。非常に優れた耐久性を持ち、商業施設などの大型建築物に採用されています。住宅向けのフッ素塗料も販売されていますが、まだ普及率は低く、価格も高くなっています。

ラジカル系

耐用年数価格
約8~16年約2,200~4,000円/㎡

ラジカル因子(劣化する原因のこと)を抑制する機能を持たせたシリコン塗料です。通常のシリコン塗料よりも耐用年数が長く、多くの大手メーカーから販売されています。アクリル樹脂を使用したものとシリコン樹脂を使用したものと種類があります。

光触媒系

耐用年数価格
約10~20年約3,400~5,500円/㎡

太陽の紫外線を利用して、外壁に付着する埃などの汚れを分解し浮き上がらせ、雨水で洗い落とすセルフクリーニング機能があります。塗膜を劣化させる紫外線を利用しているため影響を受けにくく、耐用年数が長いです。

アクリル塗料の失敗しない選び方

ペンキ塗料の画像

塗料選びにはいくつか注意しておくポイントがあります。これからアクリル塗料を使いたいと考えている方は、ポイントをチェックして失敗しないようにしましょう。

油性と水性の違い

油性はシンナーを希釈して使用するもので、水性は水を希釈して使用します。シンナーを使用する油性はシックハウスの原因となるVOC(揮発性有機化合物)を排出しますので換気することが大切です。室内で使用する時は臭いの少ない水性を使用するといいでしょう。

適切な用途で選ばないと失敗する

アクリル塗料は耐久性を必要とする屋外の使用はあまり適しません。ただし、湿気対策が必要な軒天井や浴室の天井には透湿性のあるアクリル塗料が向いています。しっかりと塗装する場所を見極めて選ばないと、すぐに劣化して何度も塗り直すことになるので注意しましょう。

価格が安いで選ぶと最終的にメンテナンス費がかかる

アクリル塗料は価格が安価なので初期費用は安いです。しかし、建物の塗装は定期的に行う必要があるため、メンテナンス回数が増えて最終的な費用が高くなる可能性があります。あと何回塗装する必要があるのか、最終的にいくらメンテナンス費が掛かるかを計算して、最良な塗料を選ぶことが大切です。

耐用年数が短くてもいい場合は最適な塗料

数年後に引っ越す、売却するからそこまで保たなくていい、数年したら解体する、など塗装をそこまで保たせる必要がない場合は、価格の安いアクリル塗料を選ぶメリットがあります。また、店舗など短い周期で塗装しなければいけないケースも安価なアクリル塗料が適しています。

DIYなら失敗リスクが低くて扱いやすい

アクリル塗料は費用が掛からないため、失敗リスクが低くDIYに使いやすい塗料です。市販されているアクリル塗料は1液型が多いので扱いやすく、作業に慣れていない方にも向いています。カラーバリエーションも豊富ですから、室内のドアや家具など自分で塗装するにはおすすめの塗料です。

塗料の扱い方と必要な塗装道具

塗装用ハケの画像

ここでは塗料の扱い方や工程、塗装に必要な道具をご紹介していきます。

塗装の工程

塗装の工程を以下にまとめました。

  • 養生する(作業場所が汚れないようにシートを敷くなどの処置)
  • 清掃
  • マスキングテープ貼り(塗装したくない場所にペンキがつかないようにするため)
  • 下地処理ケレンがけ
  • 下塗り(1回)
  • 上塗り(2回)
  • 完了

ケレンがけとはペーパーやすりなどを用いて塗布面を磨く作業です。

下塗り剤の有無や塗布回数は使用する塗料により異なるため、詳しくは施工説明書を確認しましょう。

塗装に使う道具

  • ペーパーやすり
  • ハケ
  • ローラー
  • 内容器(塗料を入れる容器)
  • ウエス
  • マスキングテープ
  • 塗装剥離剤

ハケやローラー、内容器は複数持っていると塗料ごとに使い分けできるので便利です。

塗料の保存方法

塗料缶を開封する画像

塗料の保存方法は以下のようになります。

  • 缶の縁についたペンキを拭き取る
  • 蓋をしっかり閉めて保管する
  • 直射日光に当たる場所に保管しない
  • 高温になる場所や火気の近くに保管しない
  • 湿気の多い場所に保管しない
  • 水性塗料は−5℃以下の場所を避けて保管する

ペンキの処分方法は以下になります。

  • 新聞紙に塗り広げてから乾燥させて捨てる
  • 硬化剤を入れて、固まってから捨てる

捨てる時は必ずペンキを乾燥または固まらせてから捨てましょう。間違っても液体のまま捨ててはいけません。

DIYで塗装を行う時の注意

DIYのイメージ画像

アクリル塗料を使用して塗装する際は室内に留めておく方が無難です。塗装作業は汚れることを前提にして、動きやすく汚れてもいい服装で作業を行いましょう。また、ペンキが跳ねるため、養生(作業場が汚れないようにする処置)をしっかりとして作業に取り掛かることが大切です。

アクリル塗料は扱いやすいけど用途に注意しよう

塗料の画像

アクリル塗料は安価で扱いやすいですが、耐久性が低く外壁塗装には向いていません。アクリル塗料を選ぶ場合は、数年の保ちで良かったり、耐久性をあまり必要としない屋内で使ったりするのがいいでしょう。安価で色も豊富なためDIYに選ばれやすく、自分で塗装したいという方に挑戦しやすい塗料です。